麗しき東西交流―第78回正倉院展―
2026年10月24日(土)~11月9日(月)
奈良国立博物館 東西新館
古都・奈良の秋の風物詩、正倉院展。およそ1300年もの時を超えて
守り伝えられた珠玉の宝物に出会えるこの展覧会は、
今年、第1回展が開催された昭和21年から80年を迎える(過去3度は東京で開催)。
正倉院宝物は、奈良時代に日本を治めた聖武天皇(ルビ・しょうむてんのう)の
ご遺愛(ルビ・いあい)品を中心に、当時一級の工芸品から、
人々の暮らしを物語る文書まで、多彩な内容の品々を擁する宝物群である。
その数は実に9000件にものぼり、宝庫の開扉に天皇の許可を要する
「勅封(ちょくふう)」等の制度のもと厳重に管理され、
継承されてきた、世界でも他に類を見ない遺産である。
今年の正倉院展も選りすぐりの宝物が会場を彩り、
ありし日の平城(なら)の都の記憶を鮮やかによみがえらせる。
「紅牙撥鏤碁子(こうげばちるのきし)」・「紺牙撥鏤碁子(こんげばちるのきし)」(北倉25)
をはじめとした聖武天皇のご遺愛品の数々は、天皇の身辺に置かれる品にふさわしく、
洗練された美意識が光る。
中でも「漆胡瓶(しっこへい)」(北倉43)は、
西方のペルシアに由来する水差しを東アジアの漆工の技術を用いて作った、
当時の東西交流の象徴的存在としても注目される。
洗練された造形美を示す「白瑠璃瓶(はくるりのへい)」(中倉69)、
西方起源の葡萄唐草文(ルビ・ぶどうからくさもん)を精緻に鋳出した
「鳥獣花背方鏡(ちょうじゅうかはいのほうきょう)」(南倉70)とともに、
国際色ゆたかな世界を演出する。
一方、格調高い書風を示す「梵網経(ぼんもうきょう)」(中倉34)や、
躍動的な文様が不思議な魅力を放つ「密陀彩絵箱(みつださいえのはこ)」(中倉143)
といった品々は、敬虔で力強い当時の人々の祈りの心を伝える。
また、近年、宮内庁正倉院事務所が技法や素材の調査を実施した
古代の藺筵(いむしろ)の関連品もお目見えする。
出陳宝物:60件(北倉13件、中倉22件、南倉22件、聖語蔵3件)うち11件は初出陳
※単位は、寸法=センチメートル、重量=グラム