2025年8 月、「財産を自由にする究極のツール 未来信託活用のススメ」を発刊し、これまでの世間の「常識」や、専門家の「思い込み」などを払拭する新しい信託の活用法を、「家族信託」や「民事信託」ではなく、それらを遥かに凌駕するスケールを持つという意味から「未来信託」と名付けて、その基礎知識や活用事例をご紹介しました。
本書は、その続編として、大きな社会問題にもなっている中小企業の事業承継に対して、未来信託を活用することによる「新たな解答」があることを示すために企画しました。
多くの中小企業経営者の方々は、何らかの対策を講じようとしておられることと思います。しかし残念なことに、いまだに専門家の世界では、事業承継と相続とを混同した相続税対策や、会社を単なる「モノ」と考えての安易なM&Aだけが事業承継であると考えられている傾向があり、その結果、事業承継という事象自体の本来の意味や、その本質が見失われているのではないでしょうか。
事業承継で受け継がれるのは、株式や事業といった目に見える財産ばかりではなく、その会社が長年にわたって築き上げてきた信頼やノウハウなど、目に見えない財産を含めた「事業の全て」であり、かつ最も重要な課題は、「後継者」という人材を正しく選定することなのです。
未来信託とは、相続などに対する既存の法律の枠組みを超えて、本人が自分の財産の行方を自由かつ柔軟に決められる新しい仕組みであり、平成19年の信託法改正で初めて実現可能となった制度を応用しています。
それによって、世間にいる多くの専門家が躓いている諸問題、例えば経営者の認知症や重病などによる行為能力喪失問題や、醜い相続争いの発生による株式などの財産の分散問題その他、相続や後見といった不便で使いにくい制度しか用意されていない「民法」の世界ではどうにもならない問題が、かなりの範囲でもって解決されます。
未来信託を既存の手法や他の新しい手法などと合わせて活用いただくことで、これまで実現不可能と思われてきたスキームを構築することができ、我が国の事業承継問題に対する新たな解答を作り上げられるものと考えております。