言葉は、人を傷つける刃にもなれば、人生を支える光にもなる。
何気なく口にした一言が、相手から生きる気力を奪うことがある。一方で、思いやりのある一言が、誰かを励まし、立ち上がる勇気を与えることもあります。SNSによって誰もが言葉を発信できる現代、その力を何のために、どのように使うのかが、私たち一人ひとりに問われています。
本書のテーマは、仏教で「やさしい言葉」「慈愛に満ちた言葉」を意味する「愛語」です。
佛心宗・大叢山福厳寺住職の大愚元勝が、仏教の八正道や布施行、身口意、写経などの教えをひもときながら、思い込みや怒りに振り回されず、相手の心に届く言葉を使うための智慧を伝えます。
愛語とは、ただ耳当たりのよい言葉を並べることではありません。ときには、相手の成長を願う厳しい言葉も愛語になります。大切なのは、その言葉が自分の感情や欲から出たものなのか、それとも相手を思う慈愛から生まれたものなのかということです。
本書では、「正しく見て、正しく考え、正しく言葉を使う」ための心の整え方をはじめ、対人関係をなめらかにする会話、SNSの誹謗中傷との向き合い方、手で書くことの意味、思いのある言葉が人を守る力などを、身近な事例を交えて紹介します。後半には、著者と出版界で約30年の経験を持つ現役ライターによる鼎談も収録。「話すこと」と「書くこと」の両面から、言葉との付き合い方を深く掘り下げます。
家族や職場での人間関係に悩んでいる方、SNS上の言葉に疲れている方、自分の思いをうまく伝えられない方へ。
使う言葉を変えれば、心が変わる。心が変われば、人との関係も人生も変わっていく。言葉の力を、誰かを打ち負かすためではなく、人を励まし、守り、世界をよりよい方向へ動かすために使う。その実践の道を示す一冊です。