本書『平成の大合併による後発の指定都市の誕生とその評価―20番目の指定都市熊本市を事例として―』は、平成の大合併を契機に誕生した「後発の指定都市」の制度的意義と課題を、熊本市を中心に実証的に分析した研究である。
平成の大合併によって誕生した相模原市、静岡市、浜松市、新潟市、堺市、岡山市、熊本市の7市(以下「後発の指定都市」という。)は、従来の大都市とは異なり、都市部と農村部を併せ持つという特徴を有する。これらの都市は、都市問題への対応に加え、農業振興や人口減少、高齢化への対応など、多様
な行政課題を抱えている。
本書では、まず指定都市制度の歴史的展開を整理し、戦前の特別市制運動から現行制度の成立までをたどる。次に、指定都市の類型化を行い、後発の指定都市の制度的位置づけを明らかにする。さらに、熊本市を事例として、財政、農政、行政区制度の3つの視点から分析を行う。
分析の結果、熊本市は指定都市移行により一定の権限と財源を獲得し、地域の中枢都市としての機能を高めた一方で、合併地域との一体性の確保、区役所の地域自治機能の充実などといった課題を抱えていることが明らかとなった。
本書は、これまでの指定都市とは異なる後発の指定都市の位置づけを明らかにするとともに、人口減少時代における後発の指定都市の一定の評価を試みるものである。指定都市制度の今後のあり方を考えるうえで、理論的・実証的知見を提供するものであり、地方自治・都市政策研究および自治体実務に重要な示唆を与える。