【オンデマンドブック】異なる時間の音楽:民族楽器からImprovisationのその先へ
  • 発売日:2026/08/27
  • 出版社:TPAF
  • ISBN:9784911500941

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【オンデマンドブック】異なる時間の音楽:民族楽器からImprovisationのその先へ

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通常価格 2,340 円(税込)
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商品説明
「音楽でひとつになる」。異なる文化を持つ人々が同じ舞台に立ち、互いの音を聴き、一つの響きへまとまる。その瞬間は、音楽の理想として語られてきた。もちろん、一体感や調和を否定したいわけではない。しかし、それだけが「共に演奏すること」の完成形なのだろうか。違いが消えなければ、音楽は失敗なのだろうか
本書は、この問いから始まる。「ひとつにならない音楽」は、ばらばらであることの礼賛でも、他者への無関心でもない。相手を聴きながら相手を自分の音楽へ取り込まず、自分も吸収されず、違ったままその場に居続けること。その可能性を即興の実践のなかで考える言葉である。
Free JazzとFree Improvisationは、既成の形式、和声、拍節から音楽を解放し、演奏する身体を前景化した。しかし自由を求めた音楽も、繰り返されれば固有の語法や評価基準を持つ。「良いインタープレイ」や「自由即興らしい音」が生まれるとき、自由とは制約の不在ではなく、自分が何に従っているかを問い直す行為となる。
その問いを具体的に残したのが韓国の打楽器奏者・金大煥だった。ドラムを叩き、書を書き、極小の文字を刻み、一打のなかに生の全体を賭けた。彼の「ワン・ビート」は技法ではなく、過去と現在を切り離さずに生きる身体の姿勢だった。「これが自由なの」という言葉は、こちらの自由観を揺さぶり続けている。
Chap Chap Recordsから『彌榮 ~金大煥に捧ぐ』を制作したのは、彼を過去へ閉じ込めるためではない。残された問いを別の身体へ渡すためだった。
大倉正之助の大鼓、照喜名仙子のガムラン、海童普賢の法竹、富松慎吾の大太鼓。大鼓には型と掛け声と間、ガムランには循環と倍音、法竹には一息と沈黙、大太鼓には全身運動と残響がある。そこには互いに換算できない四つの時間がある。
本書では、それらを共通のテンポや構成へ急いでまとめない。合わせない。融合しない。同じ時間を生きることを前提にしない。それでも相手の存在を聴き、同じ場所に立つ。そこで生まれるのは、統一された作品というより、異なる時間が同時に存在できる「場」である。
前半では即興・自由・民族楽器・楽器固有の時間を考え、中盤では金大煥、『彌榮』、四人のライヴ、ガムランと法竹のデュオをたどる。終盤では融合・対話・ジャンルを問い直し、Improvisationのその先を見渡す。
ここに最終的な定義はない。音が重なっても一つにならないとき、私たちは何を聴くのか。本書が、その余白へ耳を向ける入口になればと思う。
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