戦前の反ファシズム運動と労働学校の歴史の上に創設された「京都人文学園」。戦後まもない混乱期の中「人文主義」を掲げ、あるべき「自由教育」の姿を追究しつづけた歩みがここに。
「自らの国家のために、しかも究極に於ては他国との闘争に役立たせるためにのみ幼いもの若いものを養成し教育して来た偏僻を矯めるには、人類のために、生きとし生けるものの福祉のために尽すべき世界公民の扶育を念願とする人文主義の精神に依る教育を措いて他に勝るものはなかろうと信じます。」(新村猛「京都人文学園創設趣意書」)
戦前京都にて『世界文化』など反ファシズム運動を展開した新村猛(名古屋大学名誉教授)や、戦前関西で労働学校にも関与していた住谷悦治(同志社第14代総長)。
共に治安維持法にて弾圧経験を経た二人が中心となり、1946年6月、「人文主義」を掲げ独自のカリキュラムを謳う京都人文学園が創立された。
敗戦後、新しい理念に共感する若者が集ってから80年。
夜間部設立、幾度もの財政危機、合併問題を乗り越え、現在も京都勤労者学園(通称:ラボール学園)としてつづく学園の歩み。
学園の発行物や行政資料の整理・検証を経て編まれた本書は、教養や自由の価値が問われる現代にこそ、貴重な道標として教育の「自由」の在り方と「人文主義」の可能性を問う。