「鄙(ひな)」とは、都から遠く離れた田舎や地方のこと。本書が見つめるのは、都会に遅れた場所としての地方ではありません。地域には、都市部にはない資源、関係性、時間の流れ、ものづくりの知恵があります。それらをどう見つけ、どう磨き、どう続くビジネスに変えていくのか。地域経済アナリスト・渡辺和博氏が、全国50超の地域ビジネスの事例をもとに読み解きます。
第1部では、ブランドづくり、商品企画、売り方、サービス、運用、ビジネスモデル、市場トレンド、時代を映すキーワードを、具体的な事例から解説します。
信長が飲んだ水、全員メガネだからできた商品、木を切らない林業、釣った魚で買える地域通貨、開かれた社食、ビーガン、フェムテックなど、身近でありながら示唆に富む事例を通じて、地域ビジネスの可能性を考えます。
取り上げるのは、特別な成功物語だけではありません。売り方を少し変えた商品、地域の日常を価値に変えたサービス、古くからの営みを次の時代につなげる工夫など、足元にあるものを見直すことで見えてくる事例です。大都市の論理をそのまま持ち込むのではなく、地域の規模や人のつながりに合った経営の考え方を探ります。
ヒット商品や話題の店を単に紹介するのではなく、そこにどんな約束、設計、顧客との関係、価格の考え方があるのかを一つひとつ分解します。読み進めるうちに、宣伝の量や流行への便乗ではなく、誰に何を届けるのかを見極めることの大切さが見えてきます。
第2部では、紀州備長炭や熊野古道などを手がかりに、持続可能な高付加価値型経営のあり方を掘り下げます。
大きくすることだけを目指すのではなく、土地の価値や作り手の姿勢を守りながら、きちんと利益を生み、次の世代へ手渡していく。そのために必要な視点を、実例に即して整理します。
地域で新しい商品やサービスをつくりたい。会社や店の強みを言葉にしたい。価格競争から抜け出したい。そう感じている人にとって、本書は自分の足元を見直すためのヒント集になります。小さくても長く続く経営を考えるための、現場に根ざした実践的な読み物です。
補助金や一時的なブームに頼るのではなく、地域にある価値を見直し、無理なく続けられる事業へ育てていきたい人へ。
地域に根ざした会社や店を続けたい経営者、事業承継や新商品開発、販路開拓に向き合う人、地域企業を支える支援機関の担当者にも役立つ一冊です。