長崎の歴史好きならば忘れられないNBCラジオの伝説の番組「長崎ものしり手帳」。33年続いたその番組を昨年から担当しているのが、文筆家の下妻みどり。独自の感性で長崎の歴史や文化を紹介した著書を多く持つ彼女が、番組を牽引してきた郷土史家永島正一先生に敬意を表しつつ、新たな切り口で長崎を語り、すっかり評判になった。この同名番組をNBC長崎放送の全面協力のもと、1冊の本にしたのがこちら。16か月分ほどの番組ストックの中から選りすぐりの69篇は、ニューヨークタイムスあり、南蛮文化あり、オランダカピタンや河童が登場するかと思えば、美輪明宏に思いを馳せる。「聞きやすさ」が身上のラジオテキストだから気軽に、どこからでも読めるのが魅力であるし、そのうえ今回本誌のためn下妻が腕をふるったイラストが全編に入っているのも楽しい。
表題の本編ほか、新作エッセイも2本収録。2025年に映画化された、長崎で幼少期を過ごしたカズオ・イシグロ原作の『遠い山なみの光』と田川憲の版画を題材にした「『遠い山なみの光』と三枚の版画」、そして自身の大叔母で23歳にして長崎原爆で”消えて”しまった女性を追いかける「八月九日の佐與子さん」も読みごたえあり。
表紙は、長崎出身で国内外で活躍中のイラストレーターmarini*monteany(マリーニ・モンティーニ)によるもので、思わずジャケ買いしたくなるほどラブリー💛
「この表紙をきっかけに本を手にとって、”佐與子さん”の物語に触れてくれたら…」とは、著者の弁。