あなたがこの『Re:mind 別冊』を手に取られた理由はなんだろうか。デザイナー高橋良太氏によるシックで遊び心に満ちた表紙が目を引いたのかもしれない。あるいはカレン・バラッドという名前をどこかで見かけたからかもしれない。もしくは、『宇宙の途上で出会う』を「つまみ読む」という奇妙なタイトルに惹かれたからかもしれない。タイトルに惹かれてくださった方のために、まずはこのタイトルの趣旨を説明しておきたい。
本書『宇宙の途上で出会う ―― 量子物理学からみる物質と意味のもつれ』は、ニュー・マテリアリズムをめぐる議論で頻繁に参照される、文字通り金字塔的な大著である。総ページ数は500を超え、定価は9、000円。量子力学、フェミニズム(フーコー=バトラー)、レヴィナス、さらにはカルカッタの工場労働のエスノグラフィーにまで話題は広がり、通読は容易ではない。本特集は、この大著の書評を『Re:mind 別冊』として発表することで、今後の理論的展開のための素材を残すことを狙いとしている。もちろん本書を通読し、詳細な議論を追い、それを深めることも学術的には重要である。しかし同時に、気軽に読める素材を提供し、研究者以外の読者にも裾野を広げていくことも重要な学術的営みだと考えている。