古代に日本の礎を築いたアマテル(イサナギ・イサナミの長男)の正后(まさきさき)として大活躍した瀬織津姫(セオリツヒメ)。歴史の記録から長らく消され続けながら、ここに来て注目度がアップしている「祓いの女神」を主人公にしたヒューマンファンタジーです。
縄文の叙事詩・ホツマツタヱをベースに、カナダ在住の童話作家あいかわ ゆきが建国のリーダーたちの真実の姿を童話のようにやさしい筆致で描くシリーズの最新刊。
アマテルには他の妃が12人いて、特にモチコ・ハヤコ姉妹は嫉妬の炎を燃やします。お世継ぎも絡んだ事件がタカマ(朝廷)で発生し、反乱は全国的に広がります。アマテルの末弟ソサノヲの恋と没落と再生、天の岩戸やヤマタノオロチ退治といった従来の日本神話でもおなじみの場面も、実に人間臭いドラマとして生き生きと描かれています。瀬織津姫が体現した光だけでなく、闇の役割を担う存在たちの生き様が丁寧に描かれ、現代の私たちに生き方の指針を与えてくれるかもしれません。
アマテルと瀬織津姫が祀られている伊勢神宮の在り方を考えるきっかけとなる記述があり、ハヤコの生んだ三つ子の娘たちが成長して模範的存在となり、宗像三女神として多くの神社で信仰を集めている状況にも、理解が進むことでしょう。
「水に流す」という、日本を象徴する和の精神を、改めて思い出すきっかけとなる一冊です。
表紙と挿絵は、シリーズ前作「ワカ姫ものがたり 回り歌で殿を射とめた和歌の祖」「ヤマトタケ物語 ホツマツタヱ誕生の秘話」でも愛らしさあふれるビジュアルを展開した原島 琉理子が担当。シリーズの最初から編集や解説を手掛ける日本語アーティストおのみん(本名・小野秀夫)が、監修に当たりました。
<目次>天の御霊たち/瀬織津姫の誕生/憧れの皇子/タカマからの知らせ/ホノコとハナコの覚悟/瀬織津姫、正后として迎えられる/モチコとハヤコ、憤る/アマテルの御世/トヨケ守の遺言/真名井のミヤヅ宮で/イサワ宮への遷都/ソサノヲの初恋/ハヤスフ姫とクシイナダ姫/虫祓い/皇子誕生/アマテルの望み/モチコの苦悩/クラキネの失政/モチコ、コクミに面会する/クラコ姫との対面/日嗣の皇子オシホミミ/オシホミミの冒険/心優しいオシホミミ/ソサノヲ、ハヤコに呼び出される/瀬織津姫の決断/筑紫のお宮で/瀬織津姫の御心/母を恋しがる三姫/悲しい誤解/岩戸開き/瀬織津姫のご祈祷/瀬織津姫の深い慈悲/ワカ姫との誓約/ヤマタノオロチ/三姫の試練/三姫の誓い/アマテルの禊とハタレ鎮圧/チャンス到来/コクミとの一騎討ち/コクミ、改心する/アマテル、ハルナハハミチと対峙する/八咫鏡に映し出された真実の姿/瀬織津姫の祈りの機織り/タケコ姫の試練/幸せの扉/オキツシマ姫/アマテルと五十鈴川/モチコ、タチカラヲに救われる/サルタヒコとヤマト姫と伊勢神宮