祝!栗山英樹さん
2026年 野球殿堂入り
2026年1月15日、競技者表彰エキスパート表彰から栗山英樹さんが殿堂入りとなりました。おめでとうございます!
野球殿堂とは
野球殿堂は、日本の野球の発展に大きく貢献した方々の功績を永久に讃え、顕彰するために1959年に創設されました。野球発祥の地である米国では、1939年に野球殿堂が創設され、日本の殿堂の20年先輩になります。「殿堂」とは英語では、"Hall of Fame"といわれ、直訳すると「名誉の殿堂」という意味になります。殿堂入りされた方々の表彰レリーフ(ブロンズ製胸像額)を、野球殿堂博物館内の殿堂ホールに掲額し、永久にその名誉を讃えます。野球殿堂入りには競技者表彰と特別表彰があります。
(公益財団法人 野球殿堂博物館 公式ホームページより引用)


今回のキーワード
まだまだ本には、自分の知らない接し方がたくさんある
栗山店長コメント
栗山店長コメント
どうしても取り上げたい一冊でした。書店とそこで働く人々を描いた、五つの短編集です。
冒頭、瀬尾まいこさんの『続きは書店で』に、こんな言葉が出てきます。「本の中に友達って結構いますよね。魅力的なやつ多いから。それに、登場人物だけでなく、本自体が友達になってくれることもあるし」。私も、本にはたくさん助けてもらってきましたが、「本と友達になる」という感覚はなかったかもしれません。まだまだ本には、自分の知らない接し方がたくさんあるということに気づかせてもらいました。ありがとうございます、です。
一穂ミチさんの『歌うように生きて』では、魯迅の『藤野先生』という作品を道しるべに、主人公の十年間が描かれています。恥ずかしながら未読だった『藤野先生』を、早速、読み始めました。本が、次の本を連れてきてくれるのです。
坂木司さんの『手に取って見てみろよ』は、シャッター街に書店を開いていく物語。本屋さんの仕組みがよくわかりますし、本をみんなで守らなければ、ということも実感できます。「触って、比べて、確かめて。ゆっくり自分の好きなものを選んでほしい。ほら。手に取って見てみろよ」。そうなんですよね!
凪良ゆうさんの『小鳥たち』が問いかけるのは、「何が幸せか」ということ。年齢によっても、置かれている立場や状況によっても、それは変わっていきます。ただ、一生懸命に生きている人のそばには、必ず人がいてくれる。人の「真心」以上の「くすり」はないのです。
そして、三浦しをんさんの『見晴らし書店の一日』。どんな街にも、郵便局と雑貨屋さんと本屋さんがあった。私たちの世代には、そんな記憶があります。北海道で暮らす私は、今も定期的に、新刊を地元の本屋さんに配達してもらっています。さまざまな情報を運んでもらうのと同時に、安否確認までしてもらっています(苦笑)。こんなに人のことを思う本屋さんがいてくれたら、みんなもっと街のことが好きになるに違いありません。大きなヒントをもらいました。

七つの短編、七つの味わい。まさに最高の「プレゼント」でした。
栗山店長コメント
七人の人気作家が「夏」をテーマに、文庫のために書き下ろした短編集。ここでしか読めない贈り物です。
伊坂幸太郎さんの『ウッドペッカー荘事件』を読みながら、頭の中はまったく別の場所へ飛んでいました。中国の古典に、「胡蝶の夢」と呼ばれる有名な逸話があります。夢の中で蝶になった思想家の荘子(そうし)は、目覚めて考えます。自分は夢で蝶になったのか、それとも本当は蝶で、いま人間になった夢を見ているのか。AIの時代、本当にそんな錯覚が生まれるのではないだろうか。大昔の逸話が予言のように思えて、まったく違うことを考えさせられました。さて、あなたは何を感じるでしょうか。
江國香織さんの『二つの宇宙』は、限りなく人と接したくないおばあちゃんと、そのおばあちゃんのことが大好きな孫、十九歳の青年のお話です。感性は人の数だけあって、だから人は面白い。このほのぼのとした感じ、大好きです。
宮部みゆきさんの『真実のトランク』は、結末の受け取り方が、読む人の数だけ生まれる物語。私はたくさん考え込んでしまいました。でも、それでいいのだと思います。どうぞ考えてください、きっとそういうことなのです。
町田そのこさんの『きっとあの日の光と同じ』には、思わず野球を重ねました。あのミスがあったからこそ、最後にあの選手へ打順が回って、ドラマが起きる。何がプラスで何がマイナスか、わからないからこそ、みんな頑張っていける。心が明るくなりました。
米澤穂信さんの『無明』で胸にしみるのは、大切なものを守ろうとするお母さんの思いです。どんな時でも、本当に大切なことを忘れるな。この難しい時代に、ホッとさせられました。
梨木香歩さんの『見越しのマツ』は、道へせり出した立派な松をめぐる物語。人と環境、さまざまな思いが浮かびます。中身は、ぜひ読んでみてください。
恩田陸さんの『伝説の季節』が教えてくれるのは「春秋に富む」。将来ある若い人のための言葉と、普通でいられることへの感謝です。
七つの短編、七つの味わい。まさに最高の「プレゼント」でした。

ドキュメントを読みながら、読者は勝手に書き手のイメージを膨らませていくもの
栗山店長コメント
栗山店長コメント
本好きには共通するものだと思うのですが、書き手への興味というのは尽きないものです。
なぜ、こんな思いを表現できるのか。なぜ、ここまで人の心を感じ、想像することができるのか。どんな体験が、どんな人や書物との出会いが、力を与えてくれたのか。憧れの沢木耕太郎さんのバックボーンを、垣間見ることができる。約三十年分のエッセイを集めたこの本に、私は没頭しました。
たとえば、モハメッド・アリ。カシアス・クレイからモハメッド・アリへ、名前を変えてまで闘ったあの伝説のチャンピオンは、なぜ、あれほど強かったのか。それは、自分が何になるべきか、そのために何をすべきかを、よく知っていたこと。そして決定的だったのは、その「すべきこと」が大好きでたまらなかったこと。沢木さんの表現が、そのまま心に入ってきます。
ドキュメントを読みながら、読者は勝手に書き手のイメージを膨らませていくものです。この本で沢木さんを知れば、そのイメージはさらに増幅され、作品がもう一段、進化して感じられるはずです。
その圧倒的な読書量には及びもしませんが、まずはここに出てくる本から本に出てくる本から、少しずつ読んでいきたいと思っています。

歴史の面白さ、人の面白さ、そして元気と勇気だけは、間違いなく感じさせてくれます!
栗山店長コメント
「逆賊」。時の権力に楯突き、敗れていった者たちのことです。豪華な歴史作家の皆さんが、古代から近代まで、さまざまな時代の反逆者たちを短編で描いていきます。
正直、古代となると、知識という意味では私などに語れることは何もないのですが、それでも読み進めるうちに、思うのです。彼らは本当に「逆賊」だったのか。むしろ、この人たちこそ勝者にならなければいけなかったのではないか。
実は監督時代、特に侍ジャパンの頃、これだけはと、選手たちにしっかりと伝えていたことがあります。歴史は、勝者の歴史。勝った者のやり方が正当化され、美化されていく。正直に、本当に良いことをやっていても、敗れれば残らない。だからこそ、必ず勝ち切って、日本野球の素晴らしさを伝える。勝たないと、伝わらないものもあるのだと。
さらに、この本を読んで、もう一つ感じたことがあります。時代が大きく動くとき、流れを作るのは、圧倒的な個人の熱量だということ。自分一人の力は、ちっぽけなものかもしれません。それでも、本当にそう思うのであれば、まずは何がなんでもやり切ること。その大切さを、逆賊と呼ばれた男たちが教えてくれます。
それぞれの物語の中身は、読んでのお楽しみ。ただ、歴史の面白さ、人の面白さ、そして元気と勇気だけは、間違いなく感じさせてくれます!

栗山英樹氏と有志による
北海道栗山町の手作り天然芝球場
栗の樹ファーム
栗山店長からのご挨拶
自分の人生で経験できることは限られていますが、私たちは「本」を通じて先人の素晴らしい経験や考え方を学ぶことができます。
また、人としての大切な情緒を熟成するには、動画だけでなく文字から取り入れ、自分の頭で考える時間がどうしても必要だと私は思うのです。
そこで今回、こんな場所を作ってもらいました。
大変な時代だからこそ、自分の助けになる一冊と出会うきっかけになったら嬉しいです。
栗山英樹書店について
北海道日本ハムファイターズ、野球日本代表「侍ジャパン」を監督として率いた栗山英樹さん。この連載では毎回、その真摯で“実践的”な人生論に根差した書籍たちをご紹介いただきます。
2026-09-30
栗山店長からのご挨拶
自分の人生で経験できることは限られていますが、私たちは「本」を通じて先人の素晴らしい経験や考え方を学ぶことができます。
また、人としての大切な情緒を熟成するには、動画だけでなく文字から取り入れ、自分の頭で考える時間がどうしても必要だと私は思うのです。
そこで今回、こんな場所を作ってもらいました。
大変な時代だからこそ、自分の助けになる一冊と出会うきっかけになったら嬉しいです。

栗山 英樹
(くりやま ひでき)
1961年東京都生まれ。監督として2016年に北海道日本ハムファイターズを日本一に、2023年には侍ジャパンをWBC世界一に導く。2024年、日本ハム球団の最高責任者であるCBOに就任。『信じ切る力』(講談社)、『監督の財産』(ワニブックス)、『栗山英樹の思考』(ぴあ)など著書多数。2026年1月に『栗山英樹がトップ経営者から引き出した逆境を突破するための金言』(NHK出版)を発売。

著書一覧はこちら
前半 / ジュンク堂書店現役書店員 大賞受賞
後半 / 犬怪寅日子さんインタビュー

