ファッションの方向性を決めるのは、
流行そのものではなく、社会潮流である――。
日本を代表するセレクトショップ、UNITED ARROWSの創業者の一人であり、長年にわたりクリエイティブディレクションを担ってきた日本ファッション界の最重要人物、栗野宏文。彼が、自らの仕事と経験を振り返りながら、装うことの意味を世に問うた『モード後の世界』刊行から6年。
その間に世界は大きく変わった。
新型コロナウイルスによるパンデミックと、その後の社会。
戦争と分断の深刻化。
SNSとインフルエンサーの影響力の拡大。
サステナビリティやダイバーシティをめぐる意識の変化。
そして、かつて「モード」や「トレンド」が持っていた力そのものも、大きく変容している。
2020年の刊行時にはまだ見えていなかった現象を前に、著者自身の経験と思索もまた深まったという。
本書は文庫化ではあるが、単なる時制の修正にとどまらない。新章「SIX YEARS」を収録するとともに、本文にも大幅な加筆・修正を施した「アップデート」版である。
「服を買わない時代」に、洋服屋は何を提供できるのか。
「モード」が終わったあとに、何が生まれるのか。
そして、変わり続ける世界の中で、ファッションには何ができるのか。
ファッション近代史をひもときながら、日本のファッションの特異性と面白さを考え、ビジネス、社会、文化、そして人間の生き方へと視野を広げていく。
世界がどれほど変わっても、変わらず問い続けることがある。
なぜなら、着ることは人間の尊厳にかかわることだから。
着ることは、生きることだから。
ファッションとは文化であり、
ビジネスであり、
生きることである。