◆百首シリーズに宮沢賢治が登場!
青春と空想の器――
◆作品紹介
七つ森
青鉛筆を投げやれば
にはかに
機嫌を直してわらへり。
(大正六年四月より)
七つ森は盛岡の西、小岩井農場近くにある七つの低山。ぽこぽことした形がかわいらしい山々で、賢治の歌や詩によく登場する。その七つ森の山にむかって青鉛筆を投げてやると、それまで不機嫌そうだった山が機嫌を直して笑ったという、まるで童話の一場面のような歌である。さまざまな空想を書き付けて作品にしていった賢治にとって、鉛筆は山と交流するための魔法の道具にふさわしいものだったのかもしれない。さらに普通の鉛筆ではなく、空や風を連想させる青い色の鉛筆にしたことで、魔法の効果により説得力が生まれている。