思いどおりにならない身体や人生とともに生きている、すべての人へ。
39歳、独身、会社員。
ゴールデンウィークの最終日、激しい腹痛で救急搬送され、目を覚ますと、お腹には人工肛門(ストーマ)がついていた。
突然変わってしまった身体。わからないことだらけの入院生活。職場復帰、お金の不安、食事、恋愛、人間関係。そして、思いどおりにならない自分の心。
それでも、生活は続いていく。
ストーマを「金玉」と呼び、主治医を笑わせようとし、副作用に悪態をつきながら、仕事をして、友人と飲み、銭湯に行きたいと願い、伊勢丹や化粧品のことを考える。
うまくできない日もある。落ち込む日も、漏らす日も、人の優しさに泣いてしまう日もある。
日々のなかで、自分が自分でいられる方法を探しながら、どうにか今日を暮らしていく、ひとりの生活者の記録。
ダメなときは休む。どうにもならないことは、どうにもならないままにしておく。それでも、また歩けそうな日に少しだけ歩く。
病気の有無にかかわらず、思いどおりにならない身体や人生とともに生きている、すべての人へ。
今生きている。それがすべて。
【目次】
第1章 オストメイトに転生してみた
39歳独身女、がんになる/汚物にまみれても、みっともなくても、まだ負けない/そもそもストーマってなんなのさ/入院生活あれこれ/わたしに触りたい人なんて誰もいないと思った/“シャバ”に出るぞ
第2章 ステージ告知と再入院
さよならマヌカハニー/ヘルプマーク、もらってみた/がんのステージ告知、されてみた/はじめてのオストメイトトイレ/2度目の救急車、2度目の入院/謎の生き物がお腹から生えている/今日のわたしの行動だけが、この先のわたしを救ってくれるだろう
第3章 はじめての抗がん剤治療
怯えを無視してはいないだろうか/抗がん剤点滴、打ってみた/肌荒れしたって可愛いよ/CAPOX? XELOX? それともティファニーのネックレス?/やってきたな、副作用/コイントスで表が出たら、わたしは5年後、この世界にはいない
第4章 たかが生活、されど生活
慣れってすごい/わたしはわたしの好きなものを見失いませんように/絶対に恥ずべき存在なんかじゃないよ/漏らした/でも、気にしなくていいよ/オストメイトだけど銭湯に行きたい/やわらかな日々/とにかくテンションが下がっている
第5章 人間関係と働き方
幸せじゃなくてもいいや/また会う日まで元気でね/抗がん剤治療あれこれ/恐怖の南部鉄器/漏らした リターンズ/母とわたし/会社でも行くか/一人じゃまともに生きられない/チェンジ・ザ・ルール
第6章 今生きている。それがすべて
誰だって、明日は我が身なのに/なんくるなくなれない/もう少しだけ、このまま歩く/コント「がん患者」/心から出た錆、身から出た金玉/死ぬまでステージⅢc