団塊世代が後期高齢者となり、「二〇二五年問題」が現実のものとなった。そのこども世代にあたる働き盛りの四〇〜五〇代のうち、働きながら親の介護を担う者は「ビジネスケアラー」と呼ばれる。ビジネスケアラーが増加すれば、それに伴って介護離職も増え、働き手不足の現代において深刻な社会問題になると懸念されている。
本書は、パーキンソン病を患った母親を五年間にわたり介護した作家が、ビジネスケアラーとしての自身の経験を振り返りながら、介護制度の実務、仕事や子育てとの両立、金銭やキャリアにまつわる葛藤などの個人的な体験を記録したノンフィクションである。介護の手引きであると同時に、家族との時間とその記憶を書き留めた文学的エッセイとしても読むことができる。