紙芝居『ポキールのとけい』
作 小川よしのり
絵 前田ななよ
ひとりぼっちになった時計と、森のどうぶつたち。
時間とともに変化する心を、やさしく描いた物語。
『ポキールのとけい』は、作者が18歳の時に筋ジストロフィーと診断され、入院していた時に生まれた作品です。作者は当時、順調だと思っていた人生が一転し、社会から切り離されたような孤独や、未来に対する不安を感じ、それらが、大きな心の痛みとなって押し寄せてきたといいます。
発狂してしまいそうなほどの、その痛みと向き合い、感じつくした先で、作者はふと「自分の障がいは、電池を交換する人がいなくなった時計のようだ」と思いつき、その時の自身を主人公にして作られたのが、この物語です。
この作品の主人公は、あいぼうのポキールに忘れられ、森にひとり取り残された「とけい」。
とけいは、いろいろな動物たちとの出会いの中で、むなしさ、くやしさ、さびしさを感じ、孤独という深い痛みと向き合います。
そしてその先で、受け入れられ、愛に包まれるよろこびを知っていきます。
その時間をともにたどる読者もまた、とけいの心細さや深い孤独を抱きしめながら、最後には、存在を認めてもらえることのよろこび、愛されることのぬくもりに、そっと包まれていきます。
切り絵による色のコントラストが美しい作品。
子どもはもちろん、大人の心にも静かに寄り添う物語です。
本作は、絵本版でもお楽しみいただけます。
また、作品をより深く味わっていただける音楽つき紙芝居上演音声もご用意しています。